2018年8月26日(日) 〜 2022年1月7日(金)
いつも勉強させていただいています
ありがとうございます
蘇志摩利の各管の譜面を探しております
どなたかお持ちじゃないでしょうか?
拝見させていただきたいです
よろしくお願いします
明治選定譜をDTMで音源化して公開されているのを知りました。
僕は古譜を読んでMIDI化しています。
ピッチもそろってるし、聞き比べるととてもおもしろい!!
ぜひリストの曲を完遂して下さい。
はじめまして。このサイトは実はずっと前から知っているのですが、掲示板に投稿するのはこれが初めてです。色々調べたことがあるので書いてみます。
1.遠楽(このサイトで亡失曲扱いのものも含む)の復曲と現存する古い楽譜について
近年では明治選定譜にない曲の復曲の試みも行われており、例えば伶楽舎の芝祐靖氏は明治選定譜にない曲の数々を復曲し、「遠楽の復曲」と題してその楽譜集を出していますが、その中に「盤渉参軍」「曹娘褌脱」「鳥歌萬歳楽」などこのサイトで亡失曲として紹介されている曲が含まれています。これらの曲は「博雅笛譜」から取ったもののようですが(ちなみに「玉樹後庭花」「廻忽」「狛犬」などは遠楽として紹介)。他にも「天平琵琶譜」から「番假崇」が復曲(琵琶独奏・唐楽スタイル・正倉院復元楽器を使ったスタイル)されています。
https://nara-edu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=8646&item_no=1&page_id=13&block_id=21
また、これは「全訳五絃譜」という林謙三氏の論文ですが、この天平時代の五絃琵琶譜の中にも、「九明楽」「如意娘」「平調火鳳」「韋郷堂々」など、このサイトで亡失曲として扱われている曲が数多く含まれています。
このサイトでは、当時の楽譜が現存していても、竜笛であるとか琵琶であるとか、一部パートしか現存していないものは亡失曲扱いとしているようですが、そのような曲でも復曲(といっても必ずしも当時の演奏の再現が目的ではなく、当時の楽譜が現存しないパートなど創作の要素も入った編曲ですが)され演奏されている曲があるのが興味深いです。
2.笙について(「也」「毛」の竹、正倉院の笙などについて)
僕は雅楽の楽器を演奏したことはありませんが、笙について興味があって調べたことがあるので、ちょっと高度な話かもしれませんが書きます。
現在の笙では通常リードがなく音が出ない「也」「毛」の竹についてですが、伝来当初は「也」はG6(双調)、「毛」はD#5(断金)だったようです。なぜ使われなくなりリードが外されたのかについては、下のサイトによると、「也」のG6は、そのオクターブ下の「十」(G5)でその不足分は補充できるとして、「毛」のD#5は、六調子の楽曲ではあまり必要としないとのことです。
http://sketto.com/densuke/touyou/6_3.htm
https://nara-edu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=9297&item_no=1&page_id=13&block_id=21
これは「笙律二考」で、これも林謙三氏の論文です。この論文には「也」「毛」の音のこともちゃんと書かれているだけでなく、更に「卜」や「斗」といった竹についての記述もあります。この論文によると、かつて中国に19本の竹が差し込まれている笙や、「義管笙」といって、17本の竹が差し込まれている他に2本差し替え用の特別な竹を持つものが存在したようなのですが、前者の17本の笙より2本多い分や、後者の差し替え用の竹が「卜」「斗」で、「卜」はF5(勝絶)、「斗」はA#5(鸞鏡)だったそうです。この論文には正倉院の笙のことも載っていますが、正倉院の笙の竹の中にも、差し替え用の「卜」「斗」らしきものがあるようです。
そしてこの論文の後ろの方には、現行の合竹以外に、筆者の理論に基づいて彼が試しに考案した様々な合竹や、江戸期の文献「楽曲考」にある合竹も載っていますが、この中には、現行の合竹で使われない「言」や「也」「毛」、「卜」「斗」などの音を含むものもあります。この論文には、一部の例を示しますが、例えば次のようなものが挙げられています。
・乞の合竹の変形(現行の乞の合竹は「乞(A4)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)、千(F#6)」)
・乞(A4)、乙(E5)、十(G5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)
・乞(A4)、工(C#5)、下(F#5)、行(A5)、七(B5)、八(E6)
・乞(A4)、卜(F5)、行(A5)、七(B5)、比(C6)、也(G6)
・乞(A4)、卜(F5)、行(A5)、斗(A#5)、比(C6)、也(G6)
・毛の合竹
・毛(D#5)、乙(E5)、行(A5)、七(B5)、言(C#6)、千(F#6)
・毛(D#5)、乙(E5)、美(G#5)、行(A5)、七(B5)、千(F#6)
・毛(D#5)、卜(F5)、行(A5)、斗(A#5)、比(C6)、也(G6)
ちなみに現代音楽でも、「也」「毛」にリードの付いた特別仕様の笙が使われることがありますが、そこでは「也」はA#5(鸞鏡)、「毛」はF5(勝絶)となっています。以下はその音が出る笙のYoutubeの動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=yUpr1F1dZt0(笙の紹介、「也」(A#5)・「毛」(F5)を含む音階あり)
https://www.youtube.com/watch?v=BNGrL4mYBMg(現代曲:真鍋尚之「呼吸III」笙のための)
https://www.youtube.com/watch?v=5_9wwimsqJw(現代曲:川島素晴「手遊び十七孔」)
あと、その「也毛」から「野暮(やぼ)」という言葉が発生したという説もありますが、「野暮」の語源については田舎者を意味する「野夫」が転じたとする説もありはっきりしないようです。「笙律二考」によると、「毛」の竹については、古い文献では「亡」という名前になっていることもあるようです。
3.採桑老の舞が行われた例について
「舞うと死ぬ」という言い伝えで知られる採桑老の曲ですが、実は近年にも採桑老の舞が再興され上演された例がわずかながらあります。最近では東儀俊美氏が2007年6月9日をはじめ複数回舞った例があります。次のリンクは上演前の2007年6月1日に出た採桑老についての朝日新聞の記事です。
http://www.asahi.com/culture/stage/koten/TKY200706010224.html
以下、参考までに、Youtubeの採桑老の動画を紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=SAxqPuB6PH0(管絃)
https://www.youtube.com/watch?v=khMf3oyDp4Y(東儀俊美 半寿の楽舞 DVD発売予告 1:00から採桑老の舞)