採桑老 現行曲 訓法 佐以志也宇羅宇〜さいしょうろう〜
管絃 別字
舞楽 舞わず 別名 採桑子。

舞楽図

唐の頃に作られるといい、また百済国の採桑翁が老いて鳩杖を取るその屈んだ姿を舞にしたもので用明天皇(在位585〜587)の頃に大~公持[おおがのきんもち]が伝えるともいいます。

この舞は多家[おおのけ]が伝承していましたが、康和2年(1100)多 資忠[おおのすけただ]が山村正連に殺害されて一時断絶しました。しかし、勅定をもって天王寺の秦 公貞[はたのきんさだ]より資忠の子 近方[ちかかた]に伝えられました。

詠の90歳・100歳の部分は不吉なため常に唱えられなかったといいます。その詞のためか『この舞を舞うと数年後に必ず死する』といわれ舞は伝承されていません。

管絃
当曲 新楽。(古記では古楽)
中曲。延八拍子。拍子十二。末四拍子加。

舞楽 左方舞。平舞。舞人1人。答舞≪新靺鞨≫≪胡コ楽≫。あり。
出時   じゅ ぶん  ぢ ぶん
・寿文(地文)
楽屋の前で杖を使い文字を一字書いたといわれます。
・盤渉調調子 係物[かかりもの]と呼ばれる介添え人に助けられ登台し出手[でるて]を舞います。
当曲舞 ・当曲 古楽。
中曲。延八拍子。拍子十二。末四拍子加。二返。
・詠 30歳・40歳の詞
・採桑老音取
・詠 50歳・60歳の詞
・当曲 一返。
・詠 70歳・80歳の詞
・採桑老音取
・詠 90歳・100歳の詞
・当曲 一返。三度拍子で終わる。
入時   かん ぢ ょ う
・上調子
入手[いるて]を舞います。

装束 別装束
ほう
縫腋袍。白小葵紋固地綾織。裏は浅黄平絹。
きょ
白固地綾織に浮線の丸文様。裏は浅黄固地綾織に横遠菱の文様。白綾織の帯。
はかま
白固地綾織に八藤の文様。裾の絹紐を足首でくくる。
せきたい
石帯
革製。黒漆塗。本手に疑犀角の丸艫と巡方。両端に覆輪金具。白八打紐で締める。
べつくつ
別沓
革製。茶色染。中張は緑地錦。沓飾りも立挙もない浅沓。
めん
木製。小面。漆塗。吊顎。動目[うごくめ]。目は透明の鼈甲。頭は黒漆塗。眉・鬚・顎に白毛。
唇は赤漆塗。不揃いの歯。採桑翁の顔。
 む  し
牟子
白地金襴に桐・唐草の地紋。裏は紫平絹。3本の組紐で結ぶ。
はとづえ
鳩杖
木製。黒漆塗。手掛に木製の鳩。杖先と手掛に唐草・菊の透彫の飾り金具。
やくたい
薬袋
白地金襴。紅絹紐。牟子と共布。
さげざや
下鞘
木製。黒漆塗。刀身なし。紅緒で腰につける。
さげざさ
下笹
針金を使った造花。


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