げん こう はい ぜつ
と
現在演奏される雅楽の楽は例外を除き「明治撰定譜」によるもので、唐楽 103曲・高麗楽 32曲が含まれます。
撰定されなかったものや楽名を確認できるもの、渡物を含めると400曲を超える曲が存在したようです。
※曲数は同曲の序破急や音取などはすべてをまとめて1曲とし、各調の調子や音取・亂聲等も含めています。
げん こう きょく
明治撰定譜に収録されている楽舞で現在でも演奏可能な曲を言います。
しかし、中には「稀曲」といわれ めったに演奏されないものもあります。
凡例: ○舞があるもの △舞は伝承されているが舞わないもの ※渡物
いちこつちょう
ね とり ちょうし
・音取 ・調子
しゅんのうでんのいちぐ ゆせい じょ さっ とう じゅ は てっしょう きっしょう
○春鶯囀 一具(遊聲/序/颯踏/入破/鳥聲/急聲)
か てん は きゅう かりょうびん ね とり は きゅう しょう わ らく ほくていらく らんりょうおう こ ん じゅ じょ は しんらりょうおうのきゅう
○賀殿(破/急) ○迦陵頻(音取/破/急) ○承和楽 ○北庭楽 ○蘭陵王 ○胡飮酒(序/破) ○新羅陵王 急
かいばいらく じってんらく ぼさつのは しゅ こ し ぶ とく らく しゅせいし いっ ときょう あ ま にのまい
・囘盃楽 ・十天楽 ・菩薩 破 ・酒胡子 ・武コ楽 ・酒C司 ・壹團嬌 ○安摩 ○ニ舞
さ だちょうね とり こ らんじょう しんがくらんじょう こ がくらんじょう りょうおうらんじょ あ まらんじょう
・沙陀調音取 ・小亂聲 ・新楽亂聲 ・古楽亂聲 ・陵王亂序 ・安摩亂聲
ひょうぢょう
ね とり ちょうし
・音取 ・調子
おう じょうのいちぐ は はのしちじょう はのはちじょう はのきゅうじょう きゅう
・皇
一具(破/ 破七帖 / 破八帖 / 破九帖 / 急)
ごしょうらく は きゅう まんざいらく まんざいらく かんしゅう さんだいえんのきゅう しゅんようりゅう りんが ろうくん し
○五常楽(破/急) ○萬歳楽 ・萬歳楽(延只八拍子) ○甘州 ・三臺鹽 急 ・春楊柳 ・林歌 ・老君子
ばい ろ ね とり は きゅう ばい ろ けいとく きょううんらく か とう らく そう ふ れん
○陪臚(音取/破[八多良八拍子]/急[新羅陵王 急]) ・陪臚(早只四拍子) ・鶏コ ・慶雲楽 ○裹頭楽 ・相府蓮
ようじょうのきゅう ふ なん や はんらく こ ろう じ おうしょうくん え てんらく いっこ
・勇勝 急 ・扶南 ・夜半楽 ・小郎子 ・王昭君 ・越殿楽 ○壹鼓(裹頭楽を用う)
そうぢょう
ね とり ちょうし
・音取 ・調子
しゅんでいらく りゅうかえん
○春庭楽 ・柳花苑
かいばいらく さっ とう じゅ は しゅ こ し
※囘盃楽〜壱越調より ※颯踏/入破〜壱越調より ※酒胡子〜壱越調より
ぶ とく らく か てん は きゅう とり は は きゅう
※武コ楽〜壱越調より ※賀殿(破/急)〜壱越調より ※鳥(破/破[延只八拍子]/急)〜壱越調より
こ ん じゅのは ほくていらく りょうおう しんらりょうおうのきゅう
※胡飮酒 破〜壱越調より ※北庭楽〜壱越調より ※陵王〜壱越調より ※新羅陵王 急〜壱越調より
おう しきちょう
ね とり ちょうし
・音取 ・調子
きしゅんらく じょ は とう り か ようぐうらく かいせいらく へいばんらく さいおうらくのは じゅすいらく
○喜春楽(序/破) ○桃李花 ○央宮楽 ・海楽 ・平蠻楽 ・西王楽 破 ・拾翠楽
そ こうのきゅう せいがいは とりのきゅう
※蘇合 急〜盤渉調より ※海波〜盤渉調より ※鳥 急〜壱越調より
え てんらく せんしゅうらく
※越殿楽〜盤渉調より ※千秋楽〜盤渉調より
ばん しきちょう
ね とり ちょうし
・音取 ・調子
そ こうこうのいちぐ じょいちのじょう じょさんのじょう じょしのじょう じょごのじょう は きゅう
○蘇合香 一具( 序一帖 / 序三帖 / 序四帖 / 序五帖 /破/急)
まんじゅうらくのいちぐ じょ はのいちじょう はのにじょうかんどう はのさんじょうかんどう はのよんじょうかんどう はのごじょう はのろくじょう
○萬秋楽 一具(序/ 破一帖 / 破二帖換頭 / 破三帖換頭 / 破四帖換頭 / 破五帖 / 破六帖)
そうめいらく りんだい ね とり りんだい ふきわたし せいがい は ね とり せいがいは ふきわたし はくちゅう ちくりんらく
・宗明楽 ○輪臺(音取/輪臺/吹渡) ○海波(音取/海波/吹渡) ・白柱 ・竹林楽
そ まく しゃ ね とり じょ は は せんしゅうらく え てんらく
○蘇莫者(音取/序/破/破[八多良八拍子]) ・千秋楽 ※越殿楽〜平調より
さいそうろう けん き こ だつ いっきょく
△採桑老 ・劍氣褌脱 ○一曲(鳥向楽を用う)
たい しきちょう
ね とり ちょうし
・音取 ・調子
たいへいらく みちゆきちょう こ し は ぶ しょうらく きゅう がっ か えん
○太平楽 (道行[朝小子と號す]/破[武昌楽と號す]/急[合歡鹽と號す])
たぎゅうらく けいばいらくのきゅう せんゆう が
○打球楽 ・傾盃楽 急 ・仙遊霞
げんじょうらく ね とり げんじょうらく げんじょうらく ば とう ね とり ば とう ば とう
○還城楽(音取/ 還城楽 /還城楽[八多良八拍子]) ○拔頭(音取/拔頭/拔頭[八多良四拍子])
さんじゅ はじんらく じょ は ちょうげいし そ ほう ひ りん こ こ だつ そ にんさんだい
○散手破陣楽(序/破) ・長慶子 ・蘇芳菲 ・輪鼓褌脱 ・庶人三臺
こ ま いちこつちょう
ね とり こ ね とり こまぢょうし
・音取(意調子・心調子と號す) ・小音取 ・狛調子(高麗小調子と號す)
しんとり そ のいちぐ のうじょ こ たん しょ へん に へん さんべん かんどう こ とり そ こ とり そ たいそうとく しんそうとく
○新鳥蘇 一具(納序/古彈/初返/二返/三返/換頭) ○古鳥蘇 ○古鳥蘇(略式用) ○退走禿 ○進走禿
えん ぎ らく こちょう はっ せん は きゅう にん な らく こ とく らく こまぼこ しき て き とく は きゅう な そ り は きゅう
○延喜楽 ○胡蝶 ○八仙(破/急) ○仁和楽 ○胡コ楽 ○狛桙 ○敷手 ○貴コ(破/急) ○納曾利(破/急)
おうにんてい は きゅう はんなり しん そ り こ そ り こ あやぎり ちょうぼ らく は きゅう
○皇仁庭(破/急) ○埴破 ○進蘇利古(埴破を用う) ○蘇利古(狛桙を用う) ○綾切 ○長保楽(破/急)
しん ま か こ ま こ らんじょう こ まらんじょう
○新靺鞨 ・高麗小亂聲 ・高麗亂聲
こ ま ひょうぢょう
こ ま そうぢょう
ね とり
・音取
ちきゅう は きゅう ほうひん とうてんらく そ し ま り
○地久(破/急) ○白濱 ○登天楽 ○蘇志摩利
めい じ せん てい ふ
明治9年(1876)と21年(1888)にそれまで各楽家で継承してきた楽舞を取捨選択し統合した楽譜で、現在の演奏のレパートリーは例外を除いてすべてこれに基づいています。
21年には撰定曲があまりにも少なかったため追加撰定されました。
初心者に雅楽のどの曲も同じように聞こえるのは撰定時に節回しや舞手がパターン化されたためと言われます。
楽譜は西洋音楽でいうスコアの形態ではなく各楽器ごとのパート譜で、「仮名譜」と言われカタカナと漢字が黒字で表記され、横に太鼓の打たれる位置が朱書きされています。
現在使用されることのない楽琵琶と楽箏の高麗楽譜も収録されています。
撰定基準や撰者は不明です。
えん がく
明治撰定譜に収録されなかった楽舞で撰定の時期には演奏が可能だった曲を言います。
現在では復曲再演される以外は殆ど演奏が困難です。
ぼう しつきょく
撰定の時期にすでに演奏が不可能だった曲を言います。
現在では楽名や内容の一部のみを古書で見ることしかできません。
わたしもの
ひとつの調子から他の調子へ移調した曲のことを言います。弾物の使用される管絃にのみ存在します。
弾物は調子が変わると絃を調絃しなおさなければならないため、ひとつの演奏会において同じ調子の曲だけを演奏します。
そのため楽の少ない調子の曲目数を増やすために行われた手法で、通常西洋音楽における移調はその音階を平行移調するため旋律は変わりませんが、
雅楽の場合、それぞれの調子に独自の節回しがあるため、或いは篳篥の音域が狭いため旋律が変えられます。