ひょう  し
拍子について

雅楽の楽にも数楽章から成る組曲のようなものがあります。
また、その楽章を表す用語や西洋音楽の2/4・4/4のような拍子に相当するものもあります。


たいきょく じゅんたいきょく ちゅうきょく しょうきょく
大曲准大曲中曲小曲

楽の規模を表す用語。

大曲は「序・破・急」などの数楽章からなり西洋音楽の組曲のようなもので、その名のとおりすべてを演奏すると数十分を要する長大な曲です。 全楽章を通して演奏されるときは特に○○○の一具[いちぐ]と称されます。
楽のいずれかに序吹[じょぶき](太鼓の打たれるヵ所で篳篥が半音下より音を摺上げる塩梅[えんばい]と呼ばれる奏法を伴う曲)を有するものをいいます。 [ほう]と呼ばれる舞の衣装の両袖を[]ぐ「諸肩袒[もろかたぬぎ]」が特徴です。
現在、四箇之大曲[しかのたいきょく]と呼ばれる4つの大曲が唐楽・高麗楽にそれぞれあり、雅楽の楽の中で最高の位置をしめます。

准大曲は大曲に準ずるの意味で、どのような内容が准大曲となるのかは定かではありませんが≪甘州[かんしゅう]≫と≪地久[ちきゅう]≫という楽が伝えられます。
現在大曲である≪鹿+章[おうじょう]≫と≪萬秋楽[まんじゅうらく]≫は 古くは准大曲でしたが、旧制の大曲2曲が廃絶したため大曲に繰り上げとなりました。

中曲は「破」に当たる曲で主に八拍子[やひょうし]で緩やかに奏されます。

小曲は「急」に当たる曲で早楽[はやがく]で小規模な曲を言います。

多くの曲は古くの本来の姿を残しておらず、中曲と呼ばれる曲でも内容を異にするものがあり一定していません。

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しん がく   こ がく
新楽古楽

唐の皇帝 玄宗の天宝13年(754)以前に作られた曲を古楽と言い、それ以降に作られた曲を新楽と言います。
古楽では壱鼓[いっこ]を用い、新楽では鞨鼓[かっこ]を用います。
現在では古楽でも鞨鼓を用い奏法のみ「壱鼓打[いっこうち]」を行うことが多いようです。
また、高麗楽は作られた時代に関係なくすべて新楽となります。ただし三ノ鼓[さんのつづみ]を用います。

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じ ょ   は  きゅう

楽章を表す用語。

は第1楽章で、拍節のない無拍節の曲と途中より拍節を伴う曲があります。
は主に延楽[のべがく]で「破砕」の意味を持ちます。
は最終楽章で破よりも拍節が速く、主に早楽[はやがく]です。
本来、大方の楽に序・破・急の楽章が備わっていたと思われますが、現在そのすべてを有するものは珍しく ≪五常楽[ごしょうらく]≫と一部の大曲がわずかに残るのみとなっています。
また、序・破・急のほかに遊聲[ゆせい]颯踏[さっとう]入破[じゅは]鳥聲[てっしょう]急聲[きっしょう]道行[みちゆき][さえずり][えい]等の楽章名もあります。

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ひょう し
拍子


はや よ ひょうし  はや む ひょうし はや や ひょうし
早四拍子早六拍子早八拍子
早楽[はやがく]と呼ばれるもので1小節が4拍(4/4または2/2)より成り、4・6・8小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。

のべ よ ひょうし  のべ や ひょうし
延四拍子延八拍子
延楽[のべがく]と呼ばれるもので1小節が8拍(8/4または4/2)より成り、4・8小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。

はやただ よ ひょうし  はやただ や ひょうし
早只四拍子早只八拍子
2拍(2/4または2/2)と4拍(4/4または4/2)の混合拍子で、4・8小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。

のべただ や ひょうし
延只八拍子
4拍(4/4または4/2)と8拍(8/4または8/2)の混合拍子で、8小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。

 や  た ら  よ  ひょうし   や  た ら  や  ひょうし
八多良四拍子八多良八拍子
2拍(2/2)と3拍(3/2)の混合拍子で、4・8小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。
早只拍子よりも1拍少ない曲でリズムによりメリハリがついてきます。


 よ ひょうし
四拍子
高麗楽の拍子で1小節が4拍(4/2)より成り、4小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。

あげびょうし
揚拍子
高麗楽の拍子で1小節が4拍(4/2)より成り、2小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。
四拍子の曲を初めから加拍子したものです。

から ひょうし
唐拍子
高麗楽の拍子で1小節が2拍(2/2)より成り、1小節毎に太鼓が打たれる曲を言います。


ひょう し
拍子
単に拍子と言う場合は上記までの小節を構成する拍節のことではなく、太鼓の打たれる数を言います。
例えば「延八拍子」で「拍子十二」の曲は全体で太鼓が8小節毎に12回打たれる曲で8×12=96小節になります。
実際には加拍子と言われる奏法を伴うので12回以上打たれることになります。

 か ひょう し
加拍子
「くわえひょうし」とも読み、打物の奏法で途中より打つ数が増えることを言います。
例えば「延八拍子」の曲で「末四拍子[くわう]」の場合、延八拍子は一拍子が8小節なので最後より4×8=32小節より加拍子を始める意味になります。

以上の用語は実際には次のように使用されます。

≪○○○破≫ 新楽。中曲。延八拍子。拍子十二。末四拍子加。

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