幾つかの衣装を重ねた装束は襲装束(常装束とも)と呼ばれ主に平舞において身に着けられます。
次の舞服より成ります。
頭にがぶられるいわゆる冑ですが雅楽では甲の字を用い、その名が表すように鳳凰をかたどったと言われます。
和紙製で四手雲地の3色の金襴が張られ啄木平打紐で縁取りされています。
上部には五七桐(桐の花の数が左より五・七・五)の透彫りの丸金具が付けられています。
襲装束を用いる舞の大方はこの鳥甲が用いられますが、中には別甲と称しその舞専用の甲を用いるものもあります。
赤・紫・萌黄の3色で金具は金色、裏は紅絹で仕立てられています。
萌黄・紫・赤の3色で金具は銀色、裏は萌黄絹で仕立てられています。
一番上に羽織られる衣装で、「燕D紗」という素材でできていて、
雅楽特有の紋が刺繍されています。
舞によって次の3つの着装法があり、脱いだ場合下に重ねた半臂や下襲が見えます。
諸肩袒
(両袖を脱ぎ腹の前で前掛けにします)
片肩袒
(右袖のみを脱ぎます)
不 袒
(そのまま着装します)
紅地で仕立てられています。
青地で仕立てられています。
下襲の上に着装される衣装で、「黒羽二重」という素材でできていて、
三重襷と唐草・桐・竹・鳳凰が刺繍されています。
袖先と襟は桐竹・唐草の錦で飾られ、袖先からは下の下襲が見えます。
裏地は紫の平絹、袖先と襟は蘇芳地で仕立てられています。
裏地は縹の平絹、袖先と襟は縹地で仕立てられています。
半臂を腰で締めるもので、半臂と同じ布でできています。
腰紐と前に垂らす部分とから成り、前に垂らす部分は半臂と同じ刺繍が施されています。
袍の下に着装しているため、前に垂らした部分が足の間に少し見える程度です。
一番下に着装される衣装で、この上に半臂・袍と重ねられます。
桐・竹・唐草の地紋が入った「両練紋固地綾織」という素材でできていて、横菱に桐・竹・唐草・花菱紋・鉄線が刺繍されています。
袖先と襟は紅色繁菱紋固地綾織、身頃と裾は桐竹紋の錦が啄木平打紐で縁取りされています。
身頃と裾は蘇芳地で仕立てられています。
身頃と裾は縹地で仕立てられています。
差貫とも言われ、霰と八藤の地紋が入った「両練紋固地綾織」でできていて、
紋と霰が刺繍されています。
裾に紐が通されており足首で締めて着装します。
袴の下に着装される衣装で、表地・裏地・紐共に「紅平絹」という素材でできていて、襲装束に限らずどの舞でも着装します。
袍を腰で締めるもので、黒漆塗りの革製で本手と上手と呼ばれる部分から成り、本手に桐6個・竹4個、上手に桐・竹1個の毛彫りの金具が付けられています。 本手を腰に当て紐を前面で締め、上手の先を本手に挟み着装します。
金具は金色、紐は紅組紐です。
金具は銀色、紐は萌黄唐打紐です。
袴を足元でまとめるもので一般には脚絆と呼ばれます。革製で表を金襴、裏を平絹で包み啄木平打紐で縁取りされています。同形のものを片足の左右につけ唐打緒で締めます。
履物の一種で足袋をはいた上に着装します。白絹糸で編まれ底に羊の柔革が張られ中底には畳表が付けられています。
別沓と呼ばれるその舞専用の沓を用いる舞を除くすべての舞で着装されます。