蘭陵王 現行曲 北斉楽 訓法 禮宇和宇〜りょうおう〜 (常には「りょう」と略称する)
管絃 別字
舞楽 別名 陵王。羅陵王。没日還午楽。

舞楽図

林邑八楽の一つ。

沙陀調の楽。

中国北斉の蘭陵王長恭は才知武勇にして容姿秀美なため、兵が見とれ戦をしなかった。そこで常に獰猛なる仮面をかぶり陣に臨み終には敵を撃ち戦に勝利したので、この舞を作り蘭陵王入陣曲と名付けたといいます。

また、支那国の王が隣国との合戦中に崩じその子が即位して戦ったが勝つことができず、王の陵に向かい悲しんでいると父王が神魂を飛ばし暮れようとしている日を招いた。ここに蒼天となり戦は思いのとおりに進み勝利したので、世の人はこぞって歌舞し没日還午楽と名付けるともいいます。

我が国には天平8年(736)に来朝した林邑国の佛哲が伝えたとも平安初期に尾張浜主が唐より伝えたともいいます。

左方走舞の代表とされ右方の≪納曾利≫とともによく舞われます。舞楽のうちでも最も勇壮華麗なものといえます。

管絃
当曲 古楽。
中曲。早八拍子。拍子十六。半帖以下加。
渡物 雙調。黄鐘調。盤渉調。太食調。上無調。

舞楽 左方舞。走舞。童舞としても。舞人1人。答舞≪納曾利≫。囀詞あり。
出時   こ らんじょう
・小亂聲
  らん じょ
・亂序
打物は≪亂序≫。龍笛は≪陵王亂序≫の追吹。
亂聲吹止句により終わる。
舞人は登台して出手[でるて]を舞います。
当曲舞  さえずり
・囀
始めは無楽。途中より打物は≪亂序≫。龍笛は
≪陵王亂序≫の追吹。
囀詞は今は唱えません。
・亂序
・囀
・亂序
  しん じょ
・嗔序
・沙陀調音取
  こう じょ
・荒序
八帖。
・当曲 古楽。
中曲。早八拍子。拍子十六。半帖以下加。
入時 ・亂序 打物は≪亂序≫。龍笛は≪安摩亂聲≫の退吹。
吹止句により終わる。
舞人は入手[いるて]を舞い退出します。

装束 別装束
ほう
紅地顕紋紗に四手雲の地紋。穴+果紋の刺繍。筒袖で露紐を手首で括る。
りょうとう
裲襠
貫頭衣。紅地唐織物に散雲の地紋。淡染の生絹の毛縁。前背面に各々2個の龍紋。
はかま
紅地唐織物に散雲の地紋。白綾織の帯。裾の紐を足首でくくる。
あかのおおくち
赤大口
紅平絹。
あておび
当帯
銅製。牡丹唐草の透彫に金鍍金。周囲に覆輪金具。裏は紅綸子。紅八打紐で締める。
 し かい
絲鞋
白絹糸。底に羊の柔革。中底に畳表。絹紐で締める。
めん
木製。中面。黒地に金漆塗。吊顎。動目[うごくめ]。上部に金漆塗の龍彫刻。面相は龍顔・金翅鳥。
 む  し
牟子
紅地金襴に四手雲の地紋。裏は紅綸子。3本の組紐で結ぶ。
ばち
右手に持つ。銅板に金鍍金。手許に紅唐打紐。鞭を模す。(左手は剣印)


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