結び

本当に極楽浄土があって、阿弥陀さまがいて、成仏できるのか? それは科学を持ってしても解りうることではありません。 地獄というものがあって感謝の念仏だけでは落ちてしまうかも知れません。 親鸞聖人は『たとひ法然聖人にすかされまゐらせて、念仏して地獄におちたりとも、さらに後悔すべからずさふらふ〜歎異抄 第二条〜』と言っています。 「たとえ浄土の教えを信じて地獄に落ちたとしても後悔しない。なぜならば浄土の教えが嘘であれば地獄に落ちる。しかし自力の修行にも耐えられない身であれば結局地獄に落ちる。同じ落ちるのであれば阿弥陀さまを信じます」と言っているのです。 浄土も地獄もその存在は解りませんが、真宗の教えを得た人の心には明らかに阿弥陀さまが存在しこの世で精一杯生き、浄土に生まれることを喜び亡くなって行きます。そのため死への恐怖・この世への未練はないと思います。よってこの世に霊となって留まることもないのでしょう。


仏教とは迷いの世界から脱け出すためにお釋迦さまによって説かれた教えです。 この迷いをぬぐい去るためにお釋迦さまはそれぞれの人の状況に合わせて、読経によって徳を積むもの、禅などによって修行をするもの、自力の修行を捨て仏にすがるものなどさまざまな方法を説いています。 一心に修行するほうが心安らぐ人もいるでしょうし、自力では続かない人もいるでしょう。 しかし仏教の目的は一つ。「いかにこの世で幸せになるか」です。 故人の供養(過去)や自らの修行(未来)ではなく私たち(現在)のための仏教である真宗に出会えたこの身を感謝します。


合掌


〜三回忌法要によせて〜
2003.9.29